精神医療

教育の本質とは

 「学ぶこと」の目的は「やろうとしていることをできるようにする」ことであり、自分がどうすればゴールに近づくかを考えて実践することをいう。日本の教育の多くは知識を覚える・増やすということに力点を置き、このことがおろそかにされてきた。

 また教師に限らず世の多くの親たちが一番困っていることの一つは、「なぜ勉強するか」を子供たちに説明できないことである。「算数は大嫌い。何で算数なんか勉強するの?」「日本語は普通に使えるし、何で国語を勉強するの?」という問いに親は「お父さんは中学しか出てないから苦労した。だからお前は良い大学に入りらないとだめだ」と説明したりする。

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div> これはある意味で下記のようなことを子供に伝えてしまう可能性がある。

「お父さんは人生の不成功者だ」
「楽して儲けるのが人生の成功だ」
「よい大学に入りさえすれば成功する」
「お父さんのようになってはいけない」
「お父さんが駄目なのは学歴のせいだ」
「人生は奴隷のようだ、だから少しでも上の奴隷(奴隷の親分)を目指せ」

 そしてこのようなメッセージをまともに取り込んでしまう子供もいれば、反発して親の言うことを聞かなくなる子供もいる。しかし、いずれにしても純粋な子供ほど頑張って頑張って最後は折れてしまうか、あるいはそのような親の子である自分を信頼できなくなり、自分が嫌いになっていく。

 私は仕事柄、多くの「学校に行けない(行きたくない)」子どもたちの診療をするが、そのような子どもたちにまず言うのが「よかった。君は正常だね。純粋な心を持ってるよ」ということである。
 たいていは親が学校に行かせようとして私のもとに連れてくる。私はそういう親たちに、次のように言う「大学を出ても就職できない時代が来ますよ」「決められたレールの上を歩く人生は楽しいでしょうか?」「ひょっとしてお母さん、決められたレールを必死で歩いて来られたんじゃないですか?そこで一つお聞きしますがお母さん、今、お母さん自身は幸せですか?」こう聞くとたいていの親は堰を切ったように、それこそ、堰を切ったように、「実は・・・」と自分のことを話し始める。

 詳細は省略するが、いずれにしても現代社会において学校においても家庭でも教育が難しい時代になっている。それは「教育とは何か?」という基本概念に混乱が見られるからである。

広義の教育の基本4要素

ステップ1 基本知識を習得(ティーチング)

ステップ2 習得が妨げられているなら問題を解決(カウンセリング)

ステップ3 才能・能力を伸ばす(コーチング)

ステップ4 自分で自分を教育する・導く(メンタリング)

 つまり、教育の最終目標は「自分で自分を教育できるようになること」すなわちメンタリングである。多くの教員は教科を教えるスペシャリスト止まりで上記が出来るプロフェッショナルは少ない。これには教育制度や学習指導要領の問題も大きいが、それこそ教師自身にも上記のような教育が必要な時代なのだろうと思っている。