生き方モデル

メタファー(隠喩)がリアルなデフォルトに変わる時

 以前にスピリチュアル・ペインについて書いた。スピリチュアル・ペインとは「私の人生は何だったのか?」「生きている意味はあるのか?」と思い詰める苦しさであり「魂の痛み」とも訳される。そして、心の傷を抱えると、愛されているという実感が得られず、それが落とし穴となり、健全な自己愛が不健全な自己愛に変質しやすい。下記のようなプロセスである。

↓心の傷
↓天から愛されている実感がわかない(嫌われてるとさえ思い宗教的・世俗的に堕ちやすい)
↓自己防衛(いつも怖がる、前に進めない、言い訳が多くなる)
↓自己中心的に堕ちる
 心の傷を癒すことが大切とは言うものの、しかし心の傷を自分で癒そうとしてもなかなか困難で場合によっては生涯それを引きずって生きていくことにもなりかねない。また、多くの精神科医やカウンセラーにおいてもそれをきちんとケアできている人は世間で思われているほど多くないか、あるいはかなりの費用と時間がかかる。心の傷が癒されるとは、たとえば虐待されたとか、悪い記憶は残っていても、悪い感情が伴わない、いろんな悪い感情が完全にニュートラルになっている状態を言う。悪い感情をニュートラルにしようとして自分で努力して忘れようと頑張るほど意識され、あるいは、それを解離すれば永久保存され、反対に強化されてしまうことの方が多い。
 スピリチュアル・ペインの癒やしと回復には文字通り、「天に癒してもらう」感覚を持つことが大切である。癒してもらう一番簡単な方法は天から与えられている自分の使命に気づくこと、そしてその人生の目的に向かうために、天(神)を無理やり信じて頑張るのではなく、あるいは、わたしなどどうせ天からも見捨てられるのだからと不信の中に身をおくのでもなく、「それでも私はまだ生かされている」と、それを信頼して天の願いを受け取りながら、日々の日常をそれとともに生きてみることである。するとしだいに天(神)というメタファー(隠喩)がリアルなデフォルトに変わっていくことに気づくだろう。
 最初は、生きていくのさえつらい日々である。それでも生きていかなければならないということは、傷ついた戦士と同じである。それでもあなたが天を信頼し、自分の使命を生きようとする時(天の願いに沿った生き方をする時)、天は「心の傷を抱えたままだと、いずれこの人は、周りの人、あるいは自分を傷つけてしまう」と知っているので、あなたが知らない間に勝手に心の傷を癒やしてくれる。この原理はあまり知られていないが真の回復を果たしている人に実際に起きている現象であり、実際に悪い感情や恐れを取り除いてくれるのである。しかしながら、あなたが自己中心的な生き方をしている間は、残念ながら天は黙って見ているだけになる。したがって「生き方」がとても重要なテーマとなる。
 この時代を生きていて多かれ少なかれ心の傷を持たない人間はいない。そういう時代だからこそ、使命に進む戦士モードが必要である。それは障害があるとか障害がないとかに関係がない。前項で、私たちは天国のような環境をこの世に奪還する戦士たちだと書いた。そしてそれを実際に実現していくとも書いた。それが昨年から始めた私たちの就労支援事業である。そこでは専門職も職業指導員も利用者もみながスタッフとして自分の使命の発見や進み方についてそのようなマインドのコーチングを受けることも出来る。
 まだ、始まって一年未満ではあるものの、実際にそこでは働く人々の心の傷が自然に癒やされていく姿を見聞きすることが出来る。それがあの就労支援センターのデフォルト(あたりまえのこと)である。その声は小さな小冊子になり、事業の中の一つであるカフェのカウンターに置いてあるので一度読んでいただきたいものである。
 かくいう私も、診療が終わってそのカフェに行き、店長の入れるコーヒーで癒やされているうちの一人である。「あの店には愛があるよね」と、そう感じてもらえるような店であり続けてほしいと願っている。