
最近の私の外来では、児童思春期の方の受診が増えています。多くの患者さんが発達障害と言われ、周囲の人と自分との違いに悩んでおり、周りからも「ちゃんとできない子」と見なされ苦しんでいます。しかし、多くの場合、その子が自然に持って生まれた能力や才能を生かすことを教えられていないか、みんなと同じことができるようにとプレッシャーをかけられうまくいかなくなっていきます。
しかし、人生で成功するには「みんなと同じようなことをできる」ではなく「自分にしかできないことをやる」ことが大切です。その良い例が下記です。
最近、メディアでも注目されている群馬県在住の岩野響さん(15歳)は、自家焙煎したコーヒー豆を販売する「HORIZON LABO(ホライズン・ラボ)」という店を開業しました。
店のキャッチコピーは「ぼくができることから ぼくにしかできないことへ」。
発達障害の一つ、アスペルガー症候群と向き合いつつ、高校には進まない選択をし、自分にしかできない、優れた味覚と嗅覚を活かす道としてコーヒー焙煎の道を選択しました。
響さんは障害の影響で空間をつかむ力が弱く、黒板の字を書き写せなかったり、運動が苦手だったりしたことから学校の授業と部活動の両立ができず、中学1年の10月に不登校となりました。
「授業についていけない」
「宿題ができない」
「学校へ行けない」という、たくさんの「できないこと」に直面したとき
「できること」を探してみた結果です。
物心ついた頃から、同じ調味料でメーカーの違いが分かるほど優れた味覚と嗅覚を持っていたのです。
両親に毎日出していたコーヒーに興味を持つようになり、中学2年の5月に知人から手回しの焙煎機をもらいました。
コーヒー豆の焙煎は、時間や温度で味がまったく変わるのが面白く、学校へ行けなくなった時に、本気で取り組んでみたいと思ったのが焙煎でした。
アスペルガーは一つのことに脇目もふらずに集中するのが得意です。プロのロースターとも意見を交わし研究しました。
中学3年の夏に家族とタイ・プーケットの海を見て、水平線(ホライズン)のように広く自由に生きたいと思い店名はホライズンにしたそうです。
そして、「自分を表現できるコーヒーの研究成果を発表する形で店を出そうと決意し、自宅近くの空き小屋を改装し、コーヒー豆の販売店をオープンしたのです。
群馬県まで行く機会はなかなかありませんが、佐賀県の地から心より彼の店の今後の成功を祈りたいと思います。
ホライズン・ラボ。いい名前ですね。まちさなの就労支援にもラボ・チームがあります。山のサナーレでも「リワーク・プログラム」がスタートします。私たちも「自分(たち)にしかできないこと」を多くの人が見つけられるように活動していきたいと思っています。
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