
最近、精神病院協会のある雑誌に投稿を依頼されましたので、今日はそこに載せる文章をこちらにも載せておきたいと思います。当院のスタッフならば私がこれまで話してきたことなのですでにご存知かと思います。しかし今回強調したいのは、自らすすんで「灯りをともす」ということです。
たとえ暗い時代にあったとしても、だれかの灯りを求め、ただ待っているのではなく、自らが灯りになろうということです。それが自分の周りを明るくし、その灯がまた自分を照らしてくれるからです。では下記に掲載しておきます。
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私が、急逝した父の病院(伊万里保養院)を引き継いだのは、日本がバブル経済の真っ只中、そのピーク直前のことでした。その後、日本は失われた20年と呼ばれる時代に入り、社会は低迷し、毎年、自死者が増加するのを目の当たりにしました。
その後、阪神淡路大震災が起きるのを見て、私は病める人々の「癒やしとよりよい人生の回復」に貢献することを経営理念に掲げ、病院名も伊万里保養院から山のサーレ・クリニックへと変更し、地域医療に貢献しようと歩み出し、今日に至っています。この間、多くの方々の支援や助けがあり、現在の山のサナーレ・クリニックがあること、厚く御礼申し上げるとともに、心より感謝いたします。
さて、その平成の時代も終わりに近づき、新しい時代が訪れようとしています。これからの新しい時代は「偽の豊かさ」から「真の豊かさ」に向かう時代だと考えています。冒頭に述べた過去の日本の試練は、偽の豊かさを追い求めた結果、起きるべくして起きたことだったのかもしれません。同様に過去においてその時期は、精神医療全体も、入院中心主義や人権意識の乏しさなど多くの問題を抱えていた時代でもありました。
私たちには、そのような過去の時代をふまえて、新しい時代を自ら「創っていく」役割と使命があると考えています。そのため山のサナーレ・クリニックでは「理念による経営」から「使命による経営」に転換しようとしています。
その活動の一つが「街のサナーレ・メンタルヘルス・ソリューション・センター(通称「まちさな」)」の開設です。それは山のサナーレ・クリニックが単に地域医療に貢献するという役割を超えて、いかに地域社会そのものに貢献できるか?という使命のもとに作られました。
その目的を別の言葉で言えば、「真の豊かさとは何か?」「心豊かに生きる、充実した人生を送るということのために大切なことは何か?」ということを、心病む人々にも、そのご家族にも、そして街の人々にも気づいてもらい、共に歩んでいくためにあると言うことが出来ます。
まだそれは、精神医療全体、そして地域社会全体から見れば「小さな灯(あかり)」にすぎないのですが、たとえ小さくても決してその火を絶やさなければ、やがてそれは大きなものとなり、私たちの住む街全体を明るく照らし、また、この世の中をよりよい方向に変革してゆくことになるだろうと思っています。ぜひこれまでと同様に、ご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。
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